戦後80年となる年となったが、80年たっても南京大虐殺という戦争の一地点をめぐる歴史論争は終わらない。加害側である日本側に「日本人は悪くなかった」との心情に引きずられて事実探究の態度を捨て去った売らんかなの雑誌などがはびこっているからだ。第2次世界大戦で日本が失った戦没者は310万人とされ、一方の中国は1000万人を超える。日本は中国とは1937年に戦争を始め、8年間にわたって継続したので、1000万人を8年間で割ると、1日あたり3000人程度を殺した計算になる。冒頭のいまも問題となる南京大虐殺による犠牲者数は中国側の主張で30万人、日本の良心的な学者クラスで5万人というのが定説だ。もっとも花田紀凱氏のように雑誌が売れれば事実などどうでもいいタイプの編集者は、「犠牲者ゼロ」を主張する雑誌づくりで〝汚い部数〟を増やしてきた過去をもつ。ともあれ1000万人犠牲者のなかにあって30万とか5万という数は、相対的な面だけ見れば小さな数だ。だがこの事件がいまも問題となるのは、日本側に「このような事件はなかった」などと主張する〝ならず者〟が存在するからであり、このような意図的なフェイクまがいの言説を広く流布してきた花田紀凱氏などは、本来、刑事責任を問われるべき存在だと私自身は考えている。もちろん、日本にはそのようなデマを規制する明確な法律が存在しないので、花田式「デマ商売」は許されてきたにすぎない。今後、彼らの立場は厳しくなる一方だろう。