戦後80年目の8月に入る。先月の参院選挙では「核保有が安上がり」と訴えた女性候補者が東京選挙区で上位当選し、南京大虐殺はなかったとの歴史認識をもつ候補者が神奈川選挙区で当選した。いずれも「参政党」の所属議員だ。日本ではまともな歴史教育がなされてこなかった現状がある。私自身を振り返っても、現在の歴史認識は学校で習った知識ではなく、職業上、取材や調査、研究を通じて培ったものにほかならない。日本の未来のためには正しい史実を公教育の中できちんと行っていくことはこれからますます必須の事柄と思える。これは「政治」のなすべき重要分野であり、公明党の文教関係議員には大きな責任がある。
まず、南京大虐殺の史実や、日中戦争でなぜ日本軍が100万人もの大軍を中国大陸におき8年間も「侵略戦争」を続けたか、きちんと認識させる必要がある。さらにその戦争遂行の過程で、日本軍兵士を「慰安」するための女性が大量に動員され、「物品」として扱われた史実もきちんと教える必要がある。最後は女性たちが足りなくなり、朝鮮半島からも多くを騙して動員し、処女同然の10代女性に1日2ケタの性行為を強制し、将来的に赤ん坊を産めない体にした歴史も教える必要がある。総じて、自国の歴史をもとに、戦争は人間を鬼畜に変える行為であることをきちんと伝える必要がある。こうした「史実」を正しく知ることが、歴史の確実な教訓化につながる。二度とこのような行為を繰り返してはならず、中国人民への謝罪の気持ちをもつことも当たり前のことだ。その認識のうえで、初めて両国間における人間同士の関係性を構築できるというものだろう。旧日本軍を含む当時の日本政府は、多くの戦争の証拠を焼却させ、戦後も知らぬ存ぜぬ、教育でもきちんと教えないという、責任回避の“卑怯な態度”をとってきた。すべての日本人がそうした人間とは思いたくないが、ジャーナリズムやアカデミズムと同じく、政治の分野でも物事は「事実」に立脚して行われなければならない。上記のような史実に反する「南京大虐殺はなかった」と主張するような国会議員は、次の選挙で確実に落選させる必要がある。