昨日付の東京新聞夕刊が長谷部恭男・早大教授の「自衛隊の9条明記は不要」という論考を掲載していた。2014~15年の安保法制の際、反対の論陣を張った学者として有名だが、改めて記事の主張に目を通した。現在の憲法は自分の身を守るための武装を禁じているわけではないので、自衛隊はもっと堂々としていればよいといった趣旨と、その自衛隊を憲法に盛り込むとさまざまな問題や矛盾が起きることを詳述している。一つは憲法にひとたび「自衛隊」の存在を書き込むと、その具体的な内容や組織の在り方を「法律」で定めることになり、法律は憲法のように3分の2のしばりがなく、過半数で可決できるため、フルスペックの集団的自衛権行使さえ容易に可能となる危惧を示している。さらに、逆に自衛隊に関する各論めいた条項を憲法に入れるとなると、平和憲法の意味がなくなるという趣旨などだ。そのため「そもそも不必要な憲法改正である。やめておいた方がよい」との結論になる。石破内閣ではいずれこの問題が浮上する機会があると思われるが、私も長谷部教授の意見に基本的に賛同する。