今月行われる参議院選挙は実質的な政権選択選挙という言い方がされる。参議院選挙でそのような言い方がされるのは珍しい。昨年10月に行われた衆院選挙は安倍政権の残滓(裏金問題)が争点となった結果として、大敗した後も石破首相は留任することができたが、この参議院選挙は自らの10カ月間の政権評価の意味合いが強くなるので、言い訳が難しい。仮に与党で過半数を割る事態となれば、政権から降りるのがスジとなるであろうし、かろうじて過半数を維持したとしても、衆院で「少数与党」という難しい状況が変化するわけではない。通常国会における石破政権は「政治とカネ」という問題を何ら解決することができなかった。30年近い懸案課題の選択的夫婦別姓も、自民党は法案すら出せなかった。耐用年数をすぎていると見られるのは自然な有権者の感情かもしれない。その結果、自民党を離れた有権者の行き先は、国民民主に行ったり、さらに最近は低劣な参政党に集まるといった具合で定着する様子がない。この流動化する政局にあって、やるべきことをきちんとやる、結果をきちんと残す政党が有権者の視野に入れば、そこにまた人気が集まるだろう政治状況だ。石破首相は自民党総裁としての最後の総理大臣となる可能性がある。