高市早苗陣営が「全国の党員ら30万~35万人に送った」(本日付毎日)リーフレットが問題になっている。総裁選選管の逢沢委員長は8月20日段階ですでに自民党が裏金問題で世間に批判されている現状から、事前活動において印刷物の大量送付を控えるように明言していた。その責任者の言葉を信じて各陣営は大量送付を控えていたが、1陣営だけこの禁を破っていた。その陣営である高市陣営は「8月1日までには印刷と封入を依頼した業者に引き渡した」(本日付産経)などと説明しているようだが、どの段階で発送したかは定かでない。発送を取りやめるなどの事前の措置を取れた可能性がある。また上記の選管委員長の方針に対し、陣営として「実は送ってしまった」などの正直な報告も事前になされていなかったようだ。要するに〝抜け駆け〟である。実際に30万人規模の党員に郵便で送付すれば、その経費は5000万円規模にのぼる。金をかけないどころか、いったいその資金はどこから出ているのかという問題にもつながる。肝心の高市陣営は「総裁選の文字は入っていない。政策の内容だけ」などとも反論しているようだが、では逆に、高市氏はこれまで定期的に全国に30万人規模の送付を行ってきたとでも主張するつもりなのだろうか。今回の自民党総裁選に出馬することを前提にした大量送付であったことは客観的に疑いようがない。現在、同陣営は他陣営も同じように選挙依頼の送付を行っているなど躍起になって反論しているが、自分の支援者に支援依頼を行うのは当然のことで、いま問題となっているのは、30万人規模などの大量送付をやめようと選管が呼びかけ、一人だけそれに従わなかったという「事実」についてである。その結果、本来なら他陣営である党員らが高市支持と勘違いして、続々と「高市早苗」と書いて党員投票している実態が報告されている。これでは選挙の公正さがフライング行為によって捻じ曲げられているに等しい。高市氏は自らの推薦人の半数以上が裏金議員である実態を指摘され、「スタッフが決めたことで知らなかった」つまり、自分の責任ではない旨開き直ったことも報じられている。仮に直接自分で選んでいなくても、推薦人になってもらった結果責任は候補者本人にある。そのことをまるで理解していないかの行動は、仮にこの人物が首相に就任すると、何か問題が起きるたびに、他人のせいにして言い逃れることが早くも明瞭だ。総務省文書問題であの醜い言い逃れをつづけた場面を彷彿とさせる出来事でもある。