「失われた30年」「失われた20年」など人によって区切り方がさまざま異なるが、私は第2次安倍政権が出来た2012年12月からの11年あまりで区切りたい。歴代最長政権となった安倍政権だが、その間、まったく進まなかった政策は多々ある。本日付毎日新聞には東南アジアで初めてタイで同性婚の法制化が実現する旨の記事が出ていた。一方の日本では1996年に法務大臣の諮問機関が答申した「選択的夫婦別姓」も成立しないままだ。その結果、女性に多くの負担がのしかかっていると本日付毎日社説は指摘する。一方で昨日もふれたように、日本の国会議員のジェンダー不平等は世界的にも最悪レベルだ。特に与党が酷い。その悪影響は日本社会の隅々に及んでいる。本日付東京は1面トップで育休取得に男女間で大きな偏りがあることを指摘した。中日新聞発行の東京新聞はジェンダー平等路線の紙面づくりを強化しているように見えるが、時宜にかなった正しい路線と感じる。大まかにいって、多様性を認める社会、差別を認めない社会は、これからの日本社会に不可欠のテーマとなる。移民受入れを余儀なくされると見られるこの国で、日本社会を選んでもらうには不可欠の普遍的テーマでもある。こうした方向性と逆方向に進んできたのがこれまでの「失われた11年」だ。皮肉なことに反転への突破口となったのは、昨年6月のLGBT理解増進法の成立だった。自民党の心ある一部議員と公明党議員の強力な尽力で、成立への道を決定づけた。その結果、この法案は明確なリトマス試験紙として作用した。これからが反転攻勢への本格的な時期となる。