日本で唯一実現された宗教政党

日本の戦後の宗教団体が政治とどのように関わったかを網羅的に調べたことがある。戦後、政党をつくろうとした宗教団体は複数あった。結論として、政党結成に至った宗教団体は創価学会だけである。だが同教団は戦後の政治とのかかわりにおいてはむしろ「後発」にすぎなかった。先行したのは立正佼成会や天理教だ。さらに生長の家もそうだった。昭和20年代、天理教団は国会に複数の議席を占めた時期もあったが、結局、撤退した。政治のどろどろした現実が教団に悪影響をおよぼし、宗教団体において本末転倒になることを懸念したといわれる。

昨日付毎日新聞夕刊には、過去に政治活動から撤退した「生長の家」の現総裁がインタビューに応じていた。「生長の家」は関係者らが日本最大の右派団体・日本会議を「生むもとにもなった教団」としても有名だが、現在の同教団はかつての主張とは正反対で、明治憲法よりも「現憲法」(=日本国憲法)を尊重することをインタビューでも明言している。歴史的にみれば、同教団が関わった政治活動において、その主張は“一変”したように見える。転じて公明党が結成に至り、現在も継続するのは、母体となる教団の思想性が一貫して変わらないという説明はできるだろう。「生命尊厳」の理念から生まれる共生概念、そこから必然的に生まれるあらゆる差別の排除などの精神性は変化しようがないからだ。政治と宗教は、宗教思想が政治の根底部分に影響する必然的な関係性から、やはり切り離して考えることはできないものだ。公明党は仏教なかんずく法華経の精神を現実社会に生かすための、装置ともいえる。

Interview:宗教法人「生長の家」谷口雅宣総裁 政治への関わりに無力感 「うまみ」は「悪いこと」の裏返し | 毎日新聞 (mainichi.jp)

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