トランプ政権が100日すぎて今日付の朝刊はどの新聞も分析や論評で埋まっている。日経は1面トップでトランプ政権が政府の公開情報のウェブページを大量に削除し、その中には連邦議会議事堂襲撃事件で恩赦になった1500人の名前なども削除されたことを明らかにしている。情報公開の「先進国」であるはずのアメリカで、このような事態が進んでいるとは驚くべきことだ。死亡者も出た重大事件の罪が政治指導者の一存ですべて許され、しかも事件そのものがなかったかのように扱われる。多くの新聞が「国際秩序」と「民主主義」の崩壊を述べているのはまさにその通りだ。一言でいえば“公正さを欠く社会”の現出ともいえる。本日付日経は「戦後80年の秩序の徹底した破壊」とトランプ100日の成果を形容する。さらに他国に無法図な関税をかける行為は、将来「米国が二度と貿易を支配できなくなる確率を急速に高めている」と指摘するのも本日付日経掲載のフィナンシャルタイムズの記事だ。まさに米国一強の崩壊を招く同国大統領の選出は、民主主義というシステムがこれほど危ういものであったことを世界に知らしめる効果を発揮している。同時にでは他の周辺国がどう対処すべきかという命題を必然的に突きつけた。冒頭の都合の悪い情報を隠蔽するトランプ政権の行動は日本におけるかつての安倍政権のもろもろの出来事を思い出させる。安倍元首相はすでにこの世にいないが、トランプ氏はわずかな運命の差で生き残り、再び権力の座に就いた。「法の支配」と「民主主義」。米国抜きでも回っていくシステム構築に動き出す好機ととらえるしかない。