禊(みそぎ)を済ませていない日本共産党

本日付の「しんぶん赤旗」の1面のめだつ場所に、「元公明党副委員長」「元運輸相」の肩書で、「二見伸明」という人物が顔写真入りで登場している。選挙が近くなるとこの人物が登場し、共産党を持ち上げるのはこの数年の「風物詩」だ。今回の文章では、敵の出方論について、自分が公明新聞政治部長時代に関わったが、当時から「あれは間違っている」と思っていたなどと自己懺悔しながら、共産党の好むコメントを羅列している。

結論からいうと、「敵の出方論」の問題は、日本共産党にとって「シロ」とはいえない。また「クロ」という評価が難しいと思う人もいるかもしれない。つまり正確には「グレーゾーン」なのだ。はっきりいえることは、過去の同党が平和革命と非平和革命(=暴力革命)の2つの局面を想定し、両方に対処する用意が必要と主張していたことである。この点は平和革命のみを想定した日本社会党とはまったく違っていた。さらにその後現在に至るまで、日本共産党はこの主張を党内手続きにおいて正式には「廃棄」していない。

公安調査庁が同党を監視する理由として、過去にテロ暴力を既遂したこと、敵の出方論を捨てていないことを挙げている。ならば志位委員長は次の対策をとってみてはどうか。まず、過去の「敵の出方論」を言葉の問題としてではなく、党大会決定として完全に「廃棄」する。平和革命のみによることを明確にする。さらに過去のテロ殺人については、すでにやってしまったことは元に戻せないので、これを機会にしっかり反省・総括し、社会に対してアピールする。私が志位氏の立場なら、そうするだろう。この2つの理由をクリアすることで、公安調査庁が同党を監視する理由はなくなる。同党はそこで初めて、国会で「公安調査庁は我々への監視をやめよ」と、説得力を伴って主張できることになる。だが、同党はどちらの「課題」もクリアしないまま、ここまで来てしまった。にもかかわらず、同党はいま政権に入るための「初めてのチャレンジ」として総選挙を位置づけている。

必要な禊(みそぎ)すら済ませないで、権力を取りに行こうとする同党の態度は、人間としての筋目に欠ける。私は「革命政党」である共産主義政党が日本の政権に入るのは完全に間違っていると考える者だが、過去のテロ暴力を反省しない政党に、そもそも論として、「政権入り」を云々する「資格」はない。このことを、今回の総選挙を機会に有権者に広く周知する必要がある。

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