選択的夫婦別姓制度の導入に反対する日本会議勢力の懸命な反対運動が微笑ましい。本日付産経新聞には公明党を支援する創価学会の中で「公明の前のめりな姿勢に懐疑的な声も上がっている」といった党と教団の離反工作を狙ったとも見られる記事が掲載され、なりふり構わない態度が鮮明だ。私はこうした姿に既視感を感じる。似たようなことは過去にも何度かあったが、特に思い出すのは永住外国人地方参政権付与法案が民主党政権のもとで成立直前まで行った際のことだ。神社本庁などを主力勢力とする日本会議は、この法案が通ると離島に外国人が集団移住して、自治体が乗っ取られかねないとの現実にはありえない極論を掲げ、民意に不安を与えていた。長崎県対馬で自衛隊の隣地が韓国人に買われて「国防が危ない」といったキャンペーン記事が掲載され、私が実際に取材に行ってみると、韓国人経営の民宿がそこにあるにすぎなかった。要するにまともなエビデンスのない主張が堂々とまかり通り、それが世論にも影響を与えている現象だった。今回も同じ光景が繰り返されている。公明党がこの問題に焦点をあて、議論を前に進めている姿は賞賛に値する。現実に困っている人たちがいて、その問題解決に汗を流している行動にほかならないからだ。想定される法案はあくまで「選択」を認めるように変更するにすぎず、別姓を“強要”するわけでは全くない。だが「選択」にすら反対する勢力は、日本の戸籍制度が破壊されるとか、家族の結びつきが壊れるなど、本質とはほど遠い印象操作で世論に影響を与えている。公明党には堂々とこの問題を前に進めてほしい。