米国下院で制裁法案が可決され、上院では議決に必要な規定数に満たずに成立しなかったため、国際刑事裁判所(ICC)の取り潰しは回避されたものと思っていたが、あの大統領なら何をやりかねないか予測すべきだった。トランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出していたICCに対し、制裁を可能とする大統領令に6日署名した。ただしその具体的な内容は明らかになっていない。7日付日経は「米国務長官が財務長官、司法長官と協議して決める」(夕刊)と報じ、9日付では「(※逮捕状を出した)カーン主任検察官が最初の制裁対象になる見通し」(東京)と報じたほか、「カーン主任検察官ら少数の幹部が対象となる見方が強い」(読売)ものの、多数が対象となる可能性も指摘されている。処分の内容は職員・家族の米国内の資産凍結、渡航禁止を科す内容で、ICC組織が存続できるかどうかは米国政府の手に委ねられた格好となっている。日本は日本人所長を出しているにもかかわらず、79カ国地域で出した抗議のための共同声明に名前を連ねていないと批判されている。