ジェンダー平等を掲げる声が増えたことで、男女の賃金格差の問題についての対応が政府内で検討されているニュースが時折聞かれる。それと同時に解決しなければならないもう一つの格差は、やはり非正規労働者と正社員の格差の問題だ。この問題が急拡大したのはやはり小泉政権時代のなごりと思え、「勝ち組」「負け組」などの言葉が生まれたのも無関係とは思われない。国内の労働者に一等国民と二等国民のような格差をつけ、あるいは内心にそのような心情を抱くように助長し、非正規職はこの程度の賃金でよいとの風潮が増えたと感じる。解決するには同一労働同一賃金で考えればいいのだろうが、フリーライターも非正規労働者の最たるものなので、その実態は肌身で実感できる。働いても働いてもそれに見合う待遇は生まれないという労働環境の実態だ。これらの状況が改善されない限り、日本の少子化問題が解決に向かうことは明らかにありえない。本日報道されたOECD発表の数値によると、OECD加盟国の中の1975年生まれの女性で子どもを産んでいない女性の比率は日本が28%で最も高かった(OECD平均は16%)。日本の出生率は韓国よりはまだマシで手をこまねいているフシがあったが、実態は相当に厳しいということだ。ちなみに1935年生まれ、1955年生まれの日本女性で子どもを産まなかった比率はいずれも11%程度。近年急速に少子化が進んでいる傾向がある。推計では2005年生まれの日本女性では33%に達する見込みという(本日付日経)。少子化問題解決への“急所”は、労働環境の格差是正であり、まともに働けばだれもが生活できる(結婚できる)賃金体系を構築しない限り、日本は沈みつづける国のままだ。