11人の壁

政治資金規正法改正案をめぐる国会の最終盤の攻防が見通せない状況だ。世論の声に“鈍感”な自民党は抜本改正の気持ちをもたず、“生煮え”の法案を提出する見込みであるのに対し、野党第一党の立憲民主はかなりハードルの高い改正案を考えているからだ。通常国会の任期は残りわずか1カ月で、このままでは国民有権者の過半数が「納得」する形での改正が成就するとは考えにくい。おそらく国会を会期延長しても、現状ではどうなるか見通せない。今回、公明党は自民党を命がけで説得するという行動をとった形跡がない。衆院選挙が近づくにつれ、公明党は小選挙区候補者11人を自民党に人質に取られているようなものだから衝突を恐れずに喧々諤々する形になりにくい。衆院の選挙制度の性質上、自民党の協力なしに11人は勝ち上がれないからだ。公明党の支援団体である教団内ではかつて「小選挙区撤退論」もあったというが、これでは“選挙のための政治”か、“国民市民の利益のための政治”かわからない側面が生じる。自民党にこのままでは総選挙で惨敗するとの危機感が少ないように見えるのは、公明党側の脅しが効いていないせいではないのか。与党内のせめぎ合いが見えてこない局面だ。

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