民主主義が根付くスピード

日本は戦後の民主主義を取り入れてまだ80年に満たない。戦前も選挙は存在したものの女性に選挙権はなかった。すでに男女同権の選挙は根づいているが、日本に民主主義が根付いているかと聞かれればかなり疑問符をもつ一人だ。一つの理由は「情報公開」という理念が根付いているようにとうてい思えないことだ。都合の悪い情報は「隠してしまえ」という安倍政治の悪弊が大きく尾を引いている。民主主義に反する行動で同政権は長期政権を築いてきた。加えて男女同権の形になったとはいえ、日本の各界の女性進出の比率は世界でも相当に低い。内実を伴う変革を怠ってきた証左といえる。だが世界に目を転じてみれば、このような完全とは思えない日本の民主主義でも、まだまともに見えてくるから不思議だ。たとえば日本が30年ほど前、国策として密接にかかわったカンボジアの民主主義だが、93年に国連管理下の総選挙を全国あげて行ったものの、現在は人民党の一党独裁が顕著で、与党支配を脅かす野党が出現すると、選挙に参加させないというありえない「横暴」がまかり通っている。その点、現ロシアでプーチン大統領の再選に邪魔になりそうな候補者がさまざまな理屈をつけて選挙に出られなくされている事態と変わらない。このような明らかな「不正な選挙」に比べると、日本の場合はまだマシかもしれない。それでも選挙を有利に進めるために多くの「裏金」をプールしたり、特定候補を落とすために多くのカネがばらまかれた広島のケースなどを見ると、日本の選挙腐敗もそれなりに存在する。一転、隣国の中国に目を向けると、一党独裁のこの国がこんごどうなるかわからない。経済的にはすでにかなり厳しい未来図が予想され、将来的にこの国に民主主義が根付くかどうかは大きな試金石だろう。ロシアでは30年かけて形ばかりの民主主義は整っても、内実はいまもカンボジア・レベルだ。逆に民主主義先進国であるはずのアメリカではトランプ大統領の登場以降、陰謀論が席巻し、11月の選挙結果次第では「内戦」が起きる可能性すら囁かれている。まずは日本から、しっかりと根付かせるしかない。

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