右派利権にすがる日本保守党

戦後最長の在任記録を更新した安倍政治は、多くの負の遺産をもたらした。その一つが歴史修正主義の風潮であり、必然的結果としてのヘイト・スピーチの横行、中国・韓国の蔑視風潮の助長をもたらした。そうした傾向は周辺に多くの「安倍的なもの」を生み出し、利権に群がるアリのように安倍チルドレンのような存在を現出した。「商売右翼」や「ビジネス保守」などの言い方もされる。日本保守党を立ち上げた百田尚樹、有本香もこの類いの人びとの範疇にあり、周辺には往年の捏造記者として知られる門田隆将や、応援団としての花田紀凱(月刊Hanada編集長)などがいる。もっともこの新政党が現実に政治で実績を残した例はなく、まともな政党として認知されていない段階だが、下馬評だけは一時的に盛り上がったものの、最近は尻すぼみの状況のようだ。産経新聞の格下メディアである『夕刊フジ』とともに、日本保守党をもっとも熱心に応援しているメディアは『月刊Hanada』といえるが、同じ日本保守党ネタで4カ月も使いまわし、安倍元首相なきいまは、この雑誌も衰退の兆しが顕著だ。窮余の一策として頼ったのがこの新党だったが、現状ではこの新党か高市早苗に頼むしかないという状況のようだ。ことしになって日本会議会長が死去、安倍晋三の忘れ形見であった「安倍派」が消滅するなど、右派利権にすがってきた人々にとっては凶事がつづく。こんごもこの流れは容易に止まりそうにない。日本社会の「潮目」が変わっている状況は明らかに見える。

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