佐藤優氏のクローズアップ現代

一昨日のNHK番組だったが午後7時30分からの「クローズアップ現代」に作家の佐藤優氏が登場するというので生で視聴した。いちばんに感じたのは、わかりやすく物事を伝えようとした同氏の姿勢だ。SNS上などでは専門家などの一部にロシアとの関係などにおける批判的論評も見られたが、何より一般の人びとに受け入れられやすい言葉と内容だったと思う。

ウクライナ問題においては、ウクライナに殺傷兵器を供与していない日本の特殊な立場を指摘、それがゆえにロシア・ウクライナ交渉の仲介役を果たしえる日本の優位的な立場を強調していた。日本にそれを実行できる力量を備えた政治家が現実に存在するかどうかは別の問題だろうが、日本の歴史的経緯を踏まえた適切な方向性と感じた。また、ちらりと出されていた「健全なナショナリズム」というキーワードは、裏返していえば、そうではないナショナリズムが席巻していることを示唆しているようにも感じ取れた。特に、相手の「内在的論理」を読み取る必要性は、単に「敵」と「味方」で2分し、敵をやっつけるためにこちらの備えを無尽蔵に強化する愚かさを示唆する発言にもつながっていた。第三者である相手が何を考え、どのような行動様式を抱いているかをできるだけ正確に把握することは、当然ながら、相手との「対話」および問題解決につなげるための最優先事項ともいえる。そうした視点をもたず、相手を過剰に「敵」認定する一部の不健全なナショナリズムは、実際は自身の「臆病さ」の反映でしかない。当然ながらその種の人たちはそうした構図すら客観視できていないはずだ。「内在的論理」は同氏がよく使用するフレーズの一つと感じるが、「対話」や問題解決への前段階において欠かすことができないファクターであることを改めて実感する。

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