抑止力信仰にからめとられる公明党

自民党と公明党が殺傷兵器を輸出できるように協議しているという問題で、新聞報道などではすでに年内中に共同開発する次期戦闘機について海外輸出の道を開くことが規定事実になっているかのように伝えられる。なぜすぐに決めないかといえば、公明党が総選挙でマイナスになるからとも報じられている。政府の説明では、各国との共同開発によって「研究力や技術力を含め経済全体の底上げにつながる」「力による一方的な現状変更への抑止力が強まる」(9月8日付日経)といったもののようだが、安倍政権でも行わなかった国策転換に踏み出す話が、自民と公明との密室協議で進められる姿は異様だ。当然ながらそこに支持者への理解を求めた上で進めるといったプロセスは存在せず、できるだけ情報を流さず、知らせない状態で決めてしまい、反発をできるだけ小さくすることに努めるという姿勢が顕著だ。

公明党は与党入りした後も、防衛政策において大きな役割を果してきた。

防衛庁を省に昇格させたのは公明党の協力のたまものであり、自衛隊の海外派遣の道を開く重要な役割を果したのも公明党だ。さらに昨年末、防衛費の2倍増を認め、日本がアメリカ、中国に次ぐ世界3位の軍事大国になる道を開くことを容認したのも公明党だ。さらにその上で、今回は殺傷能力を含む武器輸出を認めることで、日本の軍事産業を支援するというのが現在の「地点」だが、そのために説明される言葉が「抑止力向上」「経済の底上げ」というのだから、この国の本来の国家理念をどこに置き去りにしてきたかという話になる。

戦争を体験した世代が多く残る時代はまだよかったが、その現実を知らない世代になると危険というのはよく言われてきたことだが、現実はまさにそうなりつつある。

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