日本の裏トランプ現象

アメリカの政治の2分化現象は日本でもしばしば報道される。共和党支持者にはトランプが主張した「選挙不正」デマをいまも真実と信じている人が多いといった内容だが、同じ現象は形を変えて実は日本でも起きていることはあまり語られることがない。3年前の大統領選でトランプ陣営の発したデマに、日本で事実的根拠もなく飛びつき、裏づけもないまま全面的の乗った人間たちの「その後」だ。具体的には、百田尚樹、有本香、門田隆将といった面々だが、彼らはファクトなきデマ宣伝に加担した行動をいまも反省することはないようだ。むしろ逆に、百田と有本は新党を立ち上げ、10月17日に新党名を発表するという。要するに「デマが事実を駆逐する」という現象は、アメリカだけの現象ではない。日本にも同じように見られる。その証拠に、デマ発信者の百田・有本の新党は、X(旧ツイッター)上でアカウントを作成すると、またたくまに10万を超え、多くの既成政党のフォロワー数を凌駕した。だがそれ自体は、本人たちの姿勢が事実かデマかと関係のない人気投票の側面が強いものなので驚くには値しない。問題は、日本のメディアでも「金儲け」のために、あのようなデマ3人組を持ち上げる媒体があることだろう。その最たるものが「夕刊フジ」だ。フジ産経グループだが、本体の産経新聞が3年前の大統領選では公正な報道を維持して新聞の面目を保ったのに比して、夕刊紙なら過去の事実の裏づけなどどうでもよいという姿勢のようだ。こうした状況がまさに日本における「裏トランプ」現象といえるものだ。

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