靖国工作員の暗躍する時代

ロシアによるウクライナ侵攻から1年半の日、プリゴジン氏死亡のニュースが入ってきた。プーチン氏の命令によると見られる殺害事件はこれまでも多く行われてきたが、今回もそれはほぼ間違いないだろう。人間のいのちを別の目的より下位に置くのは共産主義(あるいはその影響を受ける体制)の大きな特徴である。

78年前の日本敗戦で、旧満州国に取り残された多くの日本人が侵攻してきたソ連軍によって凌辱され、殺害された。その数は25万人といわれる規模だから、実際は右派の作家が述べるように「満州大虐殺」と呼んでいいものだったかもしれない。旧日本軍が中国・南京で行った大虐殺は一般的に犠牲者4~5万人、多く見積もって10万人とされるので、満州で命を落とした日本人のほうが規模は大きい。だがここで規模の大小を論じても意味はない。

旧日本軍は中国大陸を「侵略」、多くの無実の市民を殺害した。これは現在のロシアが隣国ウクライナに土足で侵入し、行っている行為と同じものだ。また満州国では、ソ連軍から逆の被害を受けた被害者としての側面もある。旧日本軍の行動にはこのように「加害」の面と「被害」の面が混在する。だが靖国神社の戦争ミュージアム「遊就館」は、「加害」の側面を認めない歴史観を発信する、特異な施設として知られてきた。結論するに、事実を客観視し、反省すべき部分に反省する心をもたない者(主に国粋主義者)に、歴史的な事実は「教訓」として残らない。靖国神社にとって都合のいい「靖国史観」を普及するいわゆる「靖国工作員」らの歴史観が、中立・客観的でなく、一方的な物の見方であることは確かだろう。

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