最大のチャンスを捨てた安倍政権

2012年12月から20年8月までの7年8カ月つづいた第2次安倍政権は、日本にとって国を富ますためにやるべきことをなさず、しないでいいことばかりやってきた政権と後世に位置付けられるであろうと私は考えている。その端的な例は、経産省(過去の通産省)エリートを側近として重用した結果、この時期の最大の政策転換のチャンスを失ったことだ。一つは原発廃止と代替エネルギーの国家挙げての研究・開発の機会を失ったことである。ひいては多くの新技術を国外輸出できる産業的基盤の構築に失敗したことだ。仮に当時の安倍首相が「原発廃止宣言」を行っていれば、国の方向としてクリーンかつ温室効果ガスを出さない新エネルギーの開発が喫緊の課題となったことは疑いようがない。太陽光・風力の再生可能エネルギーをはじめ、水素燃料の実用化にもはずみがついた可能性がある。さらに日本の技術が開発した新規エネルギーは各国に輸出され、日本の産業界の飛躍台の一つとなった可能性がある。だが安倍内閣は原発を推進する役所を頼ったため構造的にそれができなかった。いやそういう状態を安倍元首相は自ら作り出してしまった。その結果、「あの大事故を起こした日本でさえ、原発を続けている」との誤ったメッセージを諸外国に発信することになり、世界の原発事情をより悪化させた。今後も原発事故は日本を含め、世界のどこかで常に起こりうる。公明党はあのとき命懸けで脱原発を安倍元首相に突きつけるべきだった。力なき正義は無用となる一例だ。

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