政党戦国時代

「安泰」の政党はどこにもない。そのことを如実に示した選挙だったと感じられる。

衆参5補選で自民党は4勝1敗と勝ち越す結果となったものの、遅くまで結果が出ない選挙区が多く、実態は自民側が「押された選挙」にすぎなかった。これでは広島サミット後に衆院解散を打つと多くの記事等で指摘されている岸田首相の判断も、躊躇を余儀なくされる面が出てくるだろう。一方で、松竹&鈴木除名問題で内部が揺れる日本共産党は、統一地方選において多くの悪影響を生じた。今回、地方議員の議席減がはなはだしい。一方の立憲民主党は今回、衆院5補選で善戦した選挙区が多かったが、本来なら勝てた選挙区を落としたという見方も多い。指導部の能力が問われている。また公明党も今回、異例の事態が相次いだ。

一人勝ちしたのは維新だけだったかもしれないが、この党に将来性があるかといえば、それも疑問符だ。候補者個人の不祥事があまりにも多い政党だからだ。この政党が大きくなればなるほど、その歪みも大きくクローズアップされるはずだ。要するに「野合集団」の域を出ていない。結論するに、いまの自公路線が有権者に支持されているとはいえないし、反面、野党がそれに代わる力を持たないため、現状維持がつづいているということにすぎない。次期衆院選挙は政権選択選挙となるので、政権担当能力を強く問われるのが参院選挙とは異なる点だが、前回、日本共産党を巻き込んで政権奪取を狙った立憲民主党が敗北した教訓からすると、今回は同じ轍を踏めないだろう。ゆるやかな野党連合のもとに、非自民・非共産勢力を「構築する」過程が不可欠となるが、それもなかなか難しく感じられる。

いま一度政党にとって必要なことは『原点』を見つめ直すということだろう。政治は何のために存在し、何を目的とするかということだ。「時代を前に進める」ことは不可欠の要件であるはずだが、この20年ほどは「前に進める」どころか「退行」「逆行」しているのが実情で、完全に止まった状態にも見える。政治に魅力のない時代がつづいている。

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