人道に対する罪

イラク戦争開戦から20年となることで本日付で記事にした新聞が幾つかあった。この戦争はアメリカが主体となって起こしたものだが、開戦理由であったイラクの大量破壊兵器保有は現在も証明されず、開戦理由そのものが「虚偽」という状態にもかかわらず、その責任は何ら問われないままだ。日本政府も現地に自衛隊を派遣した経緯があるが、結局、虚偽理由のプロジェクトに参加したことになる。この「教訓」は、今後、集団的自衛権を行使する際、同じことを繰り返す恐れがあることを意味する。この事実はいくら強調しても足りることはない。

現在、ウクライナへの侵略行為をつづけるロシアのプーチン大統領に国際刑事裁判所によって戦争犯罪の容疑者として逮捕状が発布されたが、その意味でいえば、正当な理由をもたないままイラク領土への侵略を行ったアメリカ主体の各国も同じ責任を負うべきことは明らかだ。その意味ではジョージ・ブッシュにも逮捕状が出されてしかるべきだった。とはいえ、国際刑事裁判所の法廷がオランダのハーグに設置されたのは2003年の3月で、その9日後にイラク戦争が始まった経緯があり、最初の適用例がアメリカ大統領では治まりはつかなかっただろう。いずれにせよ、現在のウクライナ戦争を裁くなら、イラク戦争も裁かなければ不公平という主張はもっともだ。

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