社会革命と人間革命

日本共産党と公明党の支持母体である創価学会は歴史的にしばしば比較の対象となってきた。同じ庶民層に足場をもち、同じ時代に切磋琢磨あるいは勢力拡大を争ってきたからだ。だがその思想性は明らかに真逆といえる。共産主義政党が社会変革によって世の中を変えようとしてきたのに対し、仏教(法華経)を根幹とする教団はまずは人間一人ひとりの中身を向上させることなしに社会変革は成功しないという考え方に立っている。要するに社会変革に向けた手順の考え方が正反対なのだ。

社会主義革命は20世紀初頭にロシアで始まり、その後地球上のかなりの部分を席巻するかに見えたが、結局うまくいかなかった。人間の内面の負の感情(征服欲、名誉欲、嫉妬の感情等)が何も変わっていないところで、形だけを変えようとしてもうまくいかないことを「証明」したのが20世紀であったとさえいえる。一方の教団の着眼点は同じ「革命」と称しても、人間ひとりひとりの内面に向けたものであり、人間の外側に原因を求めた発想とは明らかに異なる。教団では「権力の魔性」という言葉で説明されることが多いが、変化しない人間性のまま権力を握った場合、自らの力を錯覚し、有権者のためでなく、自分や自分たちの利益のために権力を振るうようになる。それが世の常であり、古来一貫して変わらない権力者の姿である。人間の内面を向上させるには、そのための方途が必要となると発想するのが人間革命の考え方だ。いまのウクライナの状況を見るにつけ、ロシアの権力者の人間の「内面」は驚くほど変わっていない。公明党の役割はこれからますます大きくなると思う。

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