2012年12月に政権奪還した第2次安倍政権は、第1次政権の安倍首相が自ら率いた2007年参院選での大惨敗の結果、依然として衆参のねじれを引きずったまま、片肺飛行の政権誕生にすぎなかった。この不安定な状態が解消されるのは2013年参院選まで待たなければならなかった。そのため、第2次安倍政権は当初の半年は大きな成果は挙げていない。内容はともあれ、特定秘密保護法を国会で通すのは参院選で圧勝し、自公で衆参の安定多数を確保した13年後半のことだ。翌年には集団的自衛権の行使容認に向けた政策テーマが動き出す。つまるところ、第2次安倍政権は政権奪取時の衆院選と、半年後の参院選で「圧勝」することで、自らの政策を実現する道を開いていったが、高市自民党の先行きは当時の状況よりも、さらに状況が厳しい。
10月20日に永田町で開かれた高市支援集会で、高市信者ともいえるシンパたちが、「5年間の長期政権をめざす」だの「8年以上支えていきましょう」などと述べているのを聞いて、その政治オンチぶりには呆れるしかなかった。当時の安倍政権は右側3割の岩盤保守層を固めただけでなく、当時はまだ勢いのあった公明党創価学会をがっちりと味方につけ、さらに加えて新たに統一教会にも手を染めるという念の入れようだった。選挙で勝利することのみが安定政権の基盤となることを身をもって知っていた安倍晋三の確信の行動に映る。高市自民党には確かに一定程度、岩盤保守層の支持は戻るかもしれないが、すでに公明党創価学会の支持を失っている。当時の安倍政権とは、条件がまったく異なっていることは明白だ。その上で、高市自民党は自ら解散した後の衆院選で勝利を得て、さらには2028年の参院選において勝利することが求められるが、自民党は大きく減らすことが明らかで状況はさらに厳しくなることが予想される。いずれ維新との関係もうまくいかなくなることは必定と思え、長期政権を展望する場合、公明党の協力なしの継続はありえないという「結論」になる。