政治に必要な3要素

一昨日の日経1面コラムに政治家に必要な3要素という話が出ていた。「信念、聡明、雄弁」という戦前政治家の説が紹介されていたが、時代を反映している。「信念」が最初に来ることは同意したいが、それは「正しい方向」での信念であることが前提となる。仮に私腹を肥やすような信念なら、それは逆効果だ。政治家に必要な3要素として、私は「正しい信念、公平・公正、慈悲深さ」を挙げたい。本来なら「史実に基づく歴史観」を加えたいところだが、それでは4つになってしまうので、「歴史観」は「正しい信念」に含めたい。

安倍元首相は通算9年近い長期政権を築いたが、「公平・公正」の概念は決定的に欠けていた。お友達主義であり、縁故主義であり、森友・加計・桜はその象徴だった。さらに歴史観においては慰安婦問題の矮小化に見られるように、歴史の史実を平気で捻じ曲げる行為が明らかだった。政治家個人の歴史観が狂えば、政策に狂いが生じ、必然的に外交姿勢も歪む。高市新総裁と中国・韓国との関係で懸念されているのはまさにそのことだろう。公平・公正という観点で見ても、昨日の党役員人事の顔ぶれを見る限り、およそ“お仲間”と後ろ盾の意向を反映した布陣にすぎず、公正さを欠く。仮に公明党が閣外協力に転じるにせよ、連立離脱するにせよ、これまで自民党と政権を共にしてきた「結果責任」は付いて回る。目先の斬った張ったではなく大局観を問われる。

春秋(10月5日) – 日本経済新聞

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