高市新総裁に望むこと

私は高市氏の歴史観が好きではない。とはいえ、政治指導者として立つことになったからには私なりのメッセージを発しておきたい。最大のことは日本国のトップは特定のイデオロギーに偏してはいけないということだ。そうなれば政権はすぐに行き詰まる。今回、総裁選挙で勝ちぬいた要因の一つは前回と異なり、「靖國参拝を行う」を封印したからだ。この種のバランス感覚がこんごのすべてを決すると申し上げる。その上で、自民党あるいは公明党も連帯責任を負う立場にあるが、自民党が国民の支持を受けられなくなっている原因の最大のものは、政策の“骨格”において成果を出していないことに尽きる。最新のTBS報道特集では古参の元自民党職員が登場し、①少子化対策②労働力不足③食料自給率④景気回復、を具体的に挙げていたが、いずれも結果を出さないままずるずると来ている。特に③は、わが国の本質的な安全保障とも密接に関わる問題だろう。さらに①の少子化問題への取り組みは、まったなしだ。とにもかくにも、高市氏が主張するとおり、まずは経済対策が最優先であり、それなしに、国民の支持が集まることはありえない。公明党は中道政治を志向し、右派リーダーのもとでは“バランサー”の役割を果たす。味方につければこれほど心強いものはないし、敵に回せば即座に政権崩壊するのが現実政治の実相となって久しい。その構造状況を最も正確に知悉していたのが安倍晋三元首相であり、この人の感性に正しい面があったことは、安倍嫌いの私であっても否定しない。特定のイデオロギーのためでなく、日本国民と、この国に共に暮らす住民(日本国籍をもたない外国籍住民、非正規滞在外国人を含む)全体のための共生志向の政治を実現してほしい。その模範の姿を、「日本モデル」として世界に発信してほしい。

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