ある懇親の席で著名な学識者が「共産党は3代目が潰した」と発言するのをたまたま耳にした。日本共産党の指導者は確かに歴代存在し、戦後は徳田球一から始まっているが、徳田の場合は「書記長」という肩書で最高指導者を称したため、「委員長」制を引いてからはその枠に入っていない。初代委員長は宮本顕治、2代不破哲三、3代志位和夫、4代田村智子という流れになる。これと対照的なのは、政党ではないが創価学会の会長に対する認識だ。初代会長の牧口常三郎は獄死、2代戸田城聖は獄中から出て組織を再建、3代池田大作に後事を託した。戸田会長は3代目が大事ということを常々語っていたが、その結果か、同教団は3代目の時代に全世界に組織的に布教を図り、現在、SGI(創価学会インタナショナル)として世界宗教化の過程を進む。日本国内の創価学会は往時ほどの勢いはなくなったとはいえ、世界規模で見れば同じ傾向にあるわけではない。一方で共産主義はといえば、世界的にみればほぼ壊滅状態に近く、日本では第2代の不破哲三委員長が3代目の時代が大事といった認識があったということもほぼ聞かない。この認識の違いは、日本共産党と創価学会ではかなり対照的に思える。「共産党は3代目が潰した」。現実はまさに冒頭の識者の言葉どおりに推移している。