東京都議選へ最後の1週間に入った。昨年10月の総選挙以降、国民民主党に吹いていた風はほぼやみ、その分新たな極右小政党の参政党に流れているようだ。最近は中国などを過度に敵視し排除する姿勢を鮮明にする排外主義的な主張が得票しやすい社会構造となっており、埼玉県でもクルド人問題が脚光を浴びるのは選挙で票を得られることが背景にある。ただしこれは一時的な風潮にすぎず、本来の日本政治のあるべき姿でないことは明白だ。選挙目当ての目的が大きいのだろうが、政府も法務省を筆頭に「不法滞在者ゼロプラン」などと銘打ち、行政自ら人種差別を助長するような広報を始めている体たらくだ。外国人の前に「不法」や「違法」の冠詞を付けること自体、1974年の国連総会で「止めましょう」と決めたと主張するのは師岡康子弁護士だ。行政自らこのような行為をしてしまう背景には、日本ではどのような行為が人種差別につながり、何を行なったらいけないかとの「基準」が法律で規定されていないことがある。外国人全体がまるで犯罪者であるかのような広報宣伝を行い、最終的に不利益を被るのは日本社会そのものだ。そのことに気づいていない日本人が多い。