日本共産党の長所と短所を一つずつ書けという問題が出たとしたら、私はこのテーマで書くだろう。私から見た同党の長所は、旧日本軍の罪責について矮小化したい勢力(一般には右派、靖國勢力、歴史修正主義者ともいう)に事実に基づいてきちんと反論・検証を行ってきたことだ。公明党が与党に入ってからこの種のフィールドでの同党の活動が急速に弱まったのに対し、日本共産党は従来の社会的役割を維持し、橋頭保を守ってきたと私個人は評価する。一方、日本共産党の短所は、そのこととコインの裏表の関係になるが、自分の党の歴史については真実の記述を避け、歴史修正主義の張本人となってきた事実だ。一例を挙げれば、最近では「民主集中制は外国(コミンテルン)由来ではない」とか、「51年綱領は正規の綱領ではなかった」などの同党の主張がその典型例だ。同時代の間は党内外で常識とされたことが、時代をへると覚えている人は少ないから平気だとでも思うのだろうか、平気で歴史の改竄を行ってきた。その意味では完全なる「二重基準」を体現する政党が日本共産党というのが私の認識だ。要するにこれらの政治姿勢は「正直」や「誠実」という価値観からはかけ離れており、仮に同党が政権に入れば、このような悪い体質が“全面展開”されることが容易に予測される。要するに属人主義がはびこり、公平性のない社会が形成・促進されることが明らかだ。その意味で私は、日本が戦後、共産主義化されなくて本当に助かった、同党らの革命が成就しないで本当によかったとの安堵の感慨を抱く一人である。