昨日大阪地裁の法廷で起きたことを簡単に報告しておきたい。
熊野元議員の妻が夫の不倫相手となった女性に対し損害賠償を求めていた裁判で昨日、大阪地裁で一審の最終局面となる「本人・証人尋問」が行われた。尋問を受けたのは熊野元議員、元議員の妻、不倫相手とされる公益社団法人会長(女性)の3人。一連事件の当事者2人が初めて顔を合わせたとみられる場面でもあった。熊野元議員は議員活動の中で不倫に至った経緯を説明し、どのホテルでどのような行為が行われたか具体的に証言した。特に強調されたのは、女性側から元議員の関心を引くような性的画像など女性側から「挑発する言動もあった」との内容である。2人目の元議員の妻は家族の立場として事件に巻き込まれた心情を率直に語った。冒頭の宣誓の際から落ち着いて堂々と気丈に受け答えする姿が印象に残った。3人目に、被告席に座っていた不倫相手とされる女性が登壇した。女性は自らが僧侶資格をもっていること、性病を有していたこと、胸や臀部の整形手術の後で、いずれも不倫行為をする状況になかった旨を説明した。特に僧侶資格(日蓮系統ではないと見られる)については、不邪淫戒を重んじる立場であるため不倫行為には慎重である旨として主張したものだった。この裁判で最大の争点となっているのは、熊野元議員が証言したホテルでの複数回の行為があったかどうかだが、女性はホテルの部屋に一緒にいた事実はいずれも認めたが、性交行為はいずれも否定した。この尋問で記者の度肝を抜く場面があった。女性が尼僧の資格をもつことを証言する場面で女性は証言席で自らウィッグを取り外し、僧侶の剃髪した頭のまま後半の尋問に応じたことだ。いずれにせよ争点は元議員と女性が不倫関係にあったかどうか、具体的にはホテルでの複数回の行為が実際に行われたかどうかに絞られる。女性側はその事実を否定するための理由を複数掲げたが、重要な理由について主張時期が遅かったことがこの日も原告代理人から問題視された(女性側が当初から主張していなかったとの趣旨)。終了後、裁判所の1階玄関付近で、3番目に証言した女性に記者の名前と立場を告げ、「(元議員か女性の)どちらかが完全にウソを述べていることになりますね」と質問すると、女性はそれには回答せず、僧侶のことと法人名は書いてくれるなといきなり要請された。ただし法廷は公開のものであり、本件裁判の最大争点とその現状を説明するには不可欠の事柄であるため敢えて一部を紹介する。次回はいったん和解テーブルが設けられ、双方がまとまらない場合は判決言渡しへと向かう予定。
【付記】この件で記者として最も不可解に感じることは、女性は熊野元議員を相手に昨年12月末、セクハラを理由に新たに損害賠償請求する裁判を起こしているが、そこでは上記別件裁判で元議員が主張したホテルでの不倫行動という最重要部分について、真実ではないとして名誉毀損で訴えていないことだ。この事実は、女性が上記裁判の本質的争点について、実際は自ら「本気では」否定していないことを示唆する。