日本が戦争に巻き込まれる可能性

2015年9月19日に安保関連法が成立して7年近くになる。集団的自衛権の一部行使を認める法案として大きな議論になった。このとき公明党は重要な役割を果たしている。左からすれば「とんでもない」という物の見方になるし、右からすれば「中途半端だ」とどちらからも批判される。もともと自民党はフルスペックの集団的自衛権を求めていると見られていたから、集団的自衛権の一部でいいとする“落とし所”を意外に思った関係者もいたようだ。それでもこの法案の成立により、日米軍事の一体化は急速に進んだ。その結果、現在はアメリカが戦争を始めたら、必然的に日本の自衛隊もそれに巻き込まれる「状態」にあると認識するのが正しいだろう。

実際に有事となった際に、〇〇事態に当たるかどうかなどと時間を費やしているヒマは現実にはないと思われる。この点は「なし崩し」に戦争に巻き込まれる可能性が高い。

だからこそそのことを心配する識者は、アメリカに戦争を起こさせない、中国に武力侵攻させないことを日本が平和国家の立場から前面に出て訴えるべきと主張している。

いま、ロシア軍のウクライナ侵攻にからみ、自民党は防衛費の2倍増、核共有、敵基地攻撃能力の容認などさまざまな要求を掲げている。それに対し、守勢に立たされて踏み込んだ発信ができずに公明党が苦慮しているとの記事が本日付読売に掲載された。記事では「党内では、特に山口氏の慎重姿勢が強いとされる」と書かれており、実際そのとおりなのだろう。私の知る限り、公明党の山口代表は閣僚経験はないものの、93年ころ自衛隊が最初のPKОに参加したころの防衛政務次官をつとめ、なおかつ弁護士出身であるので日本国憲法に関する造詣が深い。安保政策においては日本の歴史的経緯を踏まえスジ論で論戦できる。そんな安定感があったなか、この秋の党大会で交代するなどの報道が出ると、これから安全保障問題について大きな議論になるという段階で、自民党タカ派などに引っ張られ、日本が戦争に再び巻き込まれる可能性が懸念される。結果次第では、公明党はこの国に「再び戦争を招いた」として将来糾弾されかねない。

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