思想で人を差別する時代に戻ったニッポン

本日付の毎日新聞に掲載された2つのコラムは出色だった。1つは2面掲載の青野由利専門編集委員の「イタリア学会の声明」というタイトルのコラム。歴史的に情報公開の制度が芽生えたのは古代ローマ時代のイタリアだったことを指摘し、それ以降、貴族らは隠れた不正ができなくなったと紹介している。イタリア学会の声明では、「説明しないこと」こそが民主主義に反する権力の行使であり、国民を無力化させる手法と書かれているらしい。もう1つのコラムは9面掲載の伊藤智永専門記者による「三島事件50年の軍と大衆」と題するコラムだが、ここで日本学術会議の任命拒否問題に関し、公安関係者が「安倍政権の特定秘密保護法・安全保障関連法・共謀罪法に反対した学者を見せしめに排斥する狙いが濃厚」と語ったことを紹介し、この問題の本質は「国家の軍事政策に協力的かで線引きする際どい思想統制事件」と位置づけている。

時の政府の方針に反対する人間を排除し、思想統制する。いまの日本は特高警察が暗躍した「戦前」と同じ社会なのだろうか。時代を超えて似たようなことが行われ始めている現実こそ、現代日本の実相といえる。

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