「反日」「内なる敵」などの用語使いに注意

名古屋に本拠地を持つ中日新聞の発行する東京新聞が、今日付のこちら特報部の面で、開幕から3日で中止に追い込まれた国際芸術祭の顛末を記事にしている。私が興味をもったのは、そこに紹介された小樽商科大学・荻野富士夫名誉教授のコメントである。それによると、「今回の経緯は、1935年の『天皇機関説事件』に似ている」という。この事件は美濃部達吉氏の唱える憲法学説が「国体に反する」と批判され、著書が発禁処分になるなどしたものだが、「この事件の発端も民間の右翼だった」「最初は民間からの攻撃。それに公権力がたきつけられて後追いするという構図は、今回とよく似ている」と指摘。その上で「戦前の1930年代から後半にかけて同じような事件が続発した」と紹介している。戦争前夜の状況と似ているということだろうが、「国体に反する」「非国民」といった当時のレッテル貼りは、最近は「反日」「内なる敵」などのフレーズに置き換えられて使われているようだ。この2つの言葉を使う人間には注意が必要である。物事をシロとクロの2種類に単純化し、分断する手法だからだ。なぜ単純化するかといえば、そのほうが「煽動」する側にとって好都合だからである。

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