中国共産党と日本共産党はそれぞれ1921年と1922年に創設された“兄弟政党”である。産みの親はコミンテルン(国際共産党)で、ロシア共産党が母胎となった組織だ。そのため両党ともいまだコミンテルン由来の「民主集中制」の党内原則を堅持する点で共通する。ただし両党には大きな違いもある。中国共産党は現実に国家運営に携わり、試行錯誤しながらも、現在まで「大中国」を運営してきたという“実績”をもつ。一方の日本共産党は一度も国政において統治側に立ったことはなく、103年の歴史をもちながら野党経験しかない共産党である。加えて中国の最高指導者である習近平国家主席は文化大革命の影響で青年期に極限に近い体験を持っているのに対し、現在の日本共産党指導部では牢に入るような弾圧を受けた人物も見当たらない。要するにサラリーマンとしての“なんちゃって革命家”の集団にすぎない。そのようなサラリーマン的気質がいまの日本共産党の判断ミスを生み出し、必要以上の党勢衰退の傾向をもたらしている。日本ではいまにも中国が台湾に武力侵攻するかのような言説が盛んだが、習国家主席はそんな愚かな指導者には見えない。なぜなら、自身の生い立ちとともに、国家指導者としての足跡をみても、自ら破滅するような行動をとるとは思えないなからだ。理由は2つある。武力統一は物理的に大きな損害を伴うこと、さらに台湾国民の納得を得られない形での統一は、その後の国家統治に大きな問題を生むからだ。その意味で、「俗論」としての言説は、杞憂で終わるものと見ている。