母親が作成した私の幼少期のアルバムが遺されていた。実家で懐かしいそのアルバムを発見して東京に持ち帰り、開いてみたのは先日のことだ。その中で福岡東公園の日蓮像の前で親に抱かれた生後間もないころの写真を見つけて驚いた。そこには「日蓮上人の前で」と母親の字で記されている。私の家の宗旨は日蓮宗系ではなかったため余計に不思議な気がしたのだ。この公園に日蓮像が建ったのは元寇時代に活躍したからだろう。銅像の下部には「立正安国」の文字がある。日蓮の思想はこの「立正安国」の4文字に集約されるとみなされているが、ただしこれは宗教的次元の言葉で、政治的な次元に転換すればそれは私にとっては「人道立国」になる。これは一般的な人道の意味というより、創価教育学会を創設した初代会長・牧口常三郎が自著『人生地理学』において主張した人道的競争の語に由来する。人類の方向性がそちらに向かうと予測した牧口の卓見は、同じホモサピエンスとして生きる人類にとっての向かうべき唯一の針路ともいえる。必然的に国家の目的もそうならざるをえない。この国は唯一の戦争被爆国であるからなおさらだ。日本は今や「世界宗教」となりつつある日蓮仏法を生み出した国として、もっと誇っていい。