東村山市の朝木明代女性市議が駅前ビルの上層から転落死した95年9月の出来事から30年となる本年、節目となる判決が出た。常習的に教団批判を繰り返している長井秀和・西東京市議が2年余り前の選挙演説で口を滑らせ、この事件で創価学会が関与したかのように発言したことで名誉毀損裁判が提起されていたが、昨日、東京地裁はこの発言について真実性も真実相当性も認めず、長井側が敗訴判決を受けたからだ。賠償額は22万円と予想された金額よりは低かったものの、それでもこの事件が「陰謀論」であることが証明された意義は大きい。
もともと朝木明代は自ら市内の洋品店で起こした万引き事件で立件間際の段階にあり、同僚市議の矢野穂積などから厳しく叱責されるべき立場にあった。だが当時は国政において新進党という衆院公明党を含む勢力が政権与党と対峙する立場にあり、95年3月に起きたオウム真理教による地下鉄サリン事件から派生した宗教団体への社会的不信感から、新進党の有力な支援団体となっていた創価学会が恰好の攻撃対象となっていた。そのため、朝木明代の死に最大の責任をもっていた矢野穂積は、転落死の原因を創価学会に“責任転嫁”し、多くの週刊誌がその「虚言」に踊らされる結果につながった(その後、訴えられたすべての雑誌側が敗訴)。つまり教団関与説は矢野らが発信した「陰謀論」の類いにすぎなかった。事実、その後30年たっても、教団がこの事件に関与したという確たる証拠は何も出てこない。逆に所轄署が行った当時の現場検証の結果では、転落現場で第三者が介在した形跡はなく、自らためらいながら飛び降りたことが明瞭だった。つまり、教団関与のヨタ話を選挙演説で軽々しく使って相手から付け込まれる原因を自ら作ったのは、中学高校時代に「チャチ」というあだ名で呼ばれていた長井秀和本人だった。弁護士JPニュースの記事では長井側の代理人が「政治的な言論の弾圧を目的としたスラップ訴訟であると批判した」ということだが、むしろ政治的な行動をとっているのは長井側の代理人のほうだろう。いずれも共産党系の代理人であり、しんぶん赤旗にもしばしば登場している弁護士だ。このような「陰謀論」まがいのヨタ話を血眼になって弁護する姿こそ、まさに〝政治的な行動〟と形容するしかない。22万円では再発防止策としては十分と思われないので、教団側にもぜひとも控訴していただきたいと個人的には考える。