選択的夫婦別姓に反対する唯一の全国紙・産経が元旦・3日付につづき本日も制度導入に反対する記事を紙面化している。本当に困っている人がいるのか――と問いかける内容だが、それはそのまま報道機関としての無能ぶりを明らかにするものといえる。取材をつきつめると、「ペーパー離婚」しても結婚状態を維持せざるをえないようなケース(本日付毎日「余録」)もあり、困っている人が相当に存在することがわかるからだ。私が以前見たテレビ番組でも、外国で日本人の学者が自らの論文を旧姓で提出する必要があるため、そのたびに「ペーパー離婚」するケースが紹介されていた。このような人権侵害を生んでいる日本の〝時代遅れ〟の法制度に選択権を導入し、困った人をなくそうという30年来の法改正に対し、産経新聞のみが今も反対する。同紙は日本会議や統一教会の思想を〝代弁〟する新聞として知られ、そこが大事なお客様だということは承知した上で、それでも普遍性を持たない主張は所詮は淘汰される運命にしかないという歴史の法則を弁えるべきだろう。醜い最後の悪あがきを見ているようで、本当に気分が悪い。もっとも、私は産経新聞やそれとは対極にあるしんぶん赤旗がこの世から無くなってほしいと思っているわけではない。極端な主張も多様性を彩る個性であり、逆に赤旗の主張は正当なものが多い。上記の問題では産経は自分たちの主張が理にかなっていない事実を率直に認め、方向転換するほうが同紙にとっての「生き残る道」だと感じる。