2024年大晦日の朝日新聞は1面トップでこの国の財政悪化の現状を戦前と比較して論じている。「戦前も大蔵省の権威が地に落ちていたのは同じだ」と奇妙な一致点があることを指摘する。目を引くのは1面に掲げられた「政府債務残高対GDP比」のグラフだ。確かに戦前・戦中時代よりも、今のほうが政府債務残高は高くなっている。戦前は膨張予算の歯止めとなったのは元老たちであった事実も紹介される。一方戦後のこの状況はひとえに自民党政治による結果といえるが、公明党も近年の20年間は政権与党に加わってきた関係上、「責任がない」とはいえない。公明党が戦前の元老と同じように歯止めになっていればこのような事態にはなっていないと思われるからだ。この種の問題を自分事として真剣に考える政治家はおそらく少数だろう。国の未来を真摯に考える政治家にしかこの問題は響かない。なぜなら今さえよければいい式の事なかれ主義が現在の状況を作ってきたからだ。同じ大晦日の日刊紙しんぶん赤旗最終面には羽田内閣で運輸大臣を務めた元公明党副委員長が赤旗編集局を訪問したとかで、一つのページを丸々使って特集されている。私などからすれば、日本共産党は大晦日にこんな紙面を大展開しなければならないほどに“窮地”に追い込まれているという感想しか持たないが、やはり矢野時代の狂った政治家というのは、党派などどうでもいいということなのだろう。このような政治家たちが連綿と生み出してきた無責任政治の集積が冒頭の危機的な財政悪化ともいえる。こんごの政治はだれが舵取りするにしても極めて難しい時代に入っている。
(百年 未来への歴史)デモクラシーと戦争:2 膨らむ借金、許した先は:朝日新聞デジタル
※本年1年間もたいへんお世話になりました。政治の激変がつづく明年も元気に働き続けられれば幸いです。いまは遠いかなたにしか見えない「人道立国・日本」を目指しつつ。