上川陽子の手堅さ

本日付各紙は恒例の日本記者クラブ主催の候補者討論会の記事で埋まっている。その中で今回の自民党総裁選で重要な争点となっている選択的夫婦別姓制度に関する議論は興味深い。保守派の候補者がこの問題に慎重で、小手先の制度改革で済まそうとしていることに対し、小泉進次郎候補は1年以内の制度改正を公約している。だが昨年6月のLGBT理解増進法の成立後の状況からみられるとおり、意見が大きく割れるテーマを乱暴な手法で進めると、後に分断というリスクを生じさせる。そのことを一番わかっているのは上川陽子候補のようだ。上川氏は個人としては賛成の立場を表明しながら、大きな分断をつくらないように納得するプロセスをへる必要性を訴え、「政府の中で検討会などをしっかり時間をかけて進めていく」(朝日)と、同じ賛成派であってもその後を見据えた慎重な進め方を語っている。 96年から議論がつづくこの問題で否定論者は論外だが、 このことからわかるとおり、同候補は、幅広く納得を生むように手堅く進める手法が際立っている。いまの日本に必要な宰相の要件を示している。

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