家父長的人権後進国

日本の精神的近代化がここまで遅れたのはやはり家父長的思想の蔓延によるところが大きいと感じる。政治的には安倍政権の確立とともにその種の勢力が政治力を増し、この国に一定の基盤を築いたように思う。これらの勢力はかつての「大日本帝国」時代の思想を踏襲するので、男女同権を嫌い、日本人以外を格下に置く。さらにかつての戦争加害を否定するのも特徴で、事実的根拠がありすでに歴史学会で確定しているような事柄についても「濡れ衣」などといって否定する。「濡れ衣」論の急先鋒はジャーナリストの櫻井よしこたちだ。これらの自称ジャーナリストたちは、事実に対する姿勢が通常のジャーナリストとは異なり、日本を高める要素は無条件に受け入れ、日本を貶める要素は事実かどうかに関係なく、色眼鏡で見ようとする傾向が強い。要するに客観評価をできない体質をもつ。平たくいえば「一国主義」、日本だけが素晴らしいという幻想の世界に生きたい人々といってもよい。こうした勢力が安倍政権時代にこの国に増大した結果、現岸田政権もそうした民意との間でフラフラしている面がある。だが「一国主義」はもはや世界では通用しない。男女同権(最近は「ジェンダー平等」など言っている)を徹底し、内外人平等を志向する国内政治を展開しないと、日本がいずれ行き詰まることは論理的にも明らかだ。打倒すべきは、家父長的体制を夢見るこうした勢力であり、具体的にいえば神道勢力、団体でいえば、日本会議と統一教会に絞られる。この2団体こそが、日本の健全な精神的成長を阻む元凶となっているのが、現代日本の実情と捉えている。

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