最近になって学生時代にもっと勉強しておけばよかったと思うことは多い。近ごろも古典のルソーなどを読む機会があるが、学生時代に読んでおくべき本だったと思う(もっとも10代で読んでも意味が正確にわかったかは疑問だが…。わからなくても読み終わることに価値があったということだろう)。なかでもまとまった時間がとりやすい学生時代にやっておけばよかったと思うのは「定番」だが、語学だ。当時、学ぼうという意欲はあったものの、英語、中国語、アラビア語とふらふらと腰が落ち着かず、あぶはち取らずで終わってしまった。まずはもっとも学習履歴の長い英語から確実に習得しようという腰の落ち着いた姿勢に欠けていた。ともあれ学生時代は分野は何でもいいのでひた向きに打ち込める何かを見つけたかどうかが大きいと感じる。たとえその道を極めることはなかったとしても、一点集中で打ち込んだエネルギーの軌跡と経験が確実に自分の身体と脳裏に残るからだ。それがその後の人生に大きなプラスとなって跳ね返ってくる。話は変わるが、ノンフィクションの書き手も、若い時代の感覚と50,60になって書くものとはおのずと深みが変わってくるように感じる。人生経験をへた上での人物眼や人生観の厚みが、作品にそのまま反映・投影されるからだ。250年前のルソーの著作を読んでいても、感じるのは人間の中身(性質・本質・心理等)は驚くほど何も変わっていないという事実だ。その意味で、人生の方程式も大きく変化するところはない。古典が現代人に読まれる理由であり、そこから学びとれるものは普遍的に存在する。