コインの表と裏

夏の参議院選挙で争点となった外国人問題。ただしこのテーマは選挙用に外国人をスケープゴート化することで優位に立とうとする議員心理を超える動きではなかった。その流れを高市政権はそのまま引き継いでいる。大事なことは「事実」を基にすることであり、最初からそこがあやふやなままの政策にすぎなかった。自公入管が3者一体となって立案した「不法滞在者ゼロプラン」もその典型だろう。昨日付東京夕刊によると、日本のオーバーステイ外国人は7万人、一方韓国は40万人ながら、日本は「不法滞在者」をスケープゴートにして撲滅プランを作成した。しかもプランの内容は半減させる中身にすぎないのに、「ゼロ」を謳った。やっているフリを見せるための選挙対策の何よりの証明だ。このような政府挙げての外国人排斥行動は、自分たち(日本人為政者)は悪くない、社会は外国人が悪くしたとする責任ずらしの手法と一体化している。ここで私が述べたいのは、そうした責任逃れの心理は、かつての昭和の戦争で「日本軍は悪くない」と主張する高市早苗を筆頭とする歴史修正主義者の心理と、コインの表と裏の関係にあるという事実だ。要するに、現象面では異なるようにみえても、本質において同一性がある。結論するに、自分の責任ととらえられない惰弱な精神性のたまものなのだ。外国人排斥の心情と歴史否定論者はたいがい重なり合っている。私の見るところ、この仮説は間違っていない。

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。