冷静さを欠く群馬県知事

かつての群馬県議会が全会一致で賛同し民間団体が設置した朝鮮人追悼碑が本日、強制撤去されるという。群馬県の山本一太知事が根拠にするのは司法判断らしい。右派団体「そよ風」の主張を受けて、県が設置の不許可決定を出したため、追悼碑を設置した団体側が提訴し、地裁、高裁、最高裁と裁判がつづいてきた。最終的に東京高裁が不許可決定は「適法」とした判断が最高裁で確定。それを受けて県が強制撤去を決めたというもので、撤去費用3000万円を民間団体に請求する旨が本日付朝日新聞で報じられている。新聞記事を読む限り、県が問題としたのは追悼式において団体側が「強制連行」などと発言したことが政治的発言にあたると判断されたというもので、その強引な判断はひとえに安倍政権の歴史認識がそのまま県レベルに波及したと思えるものだ。しかもすでに設置してある追悼碑を3000万円かけて「排除」するというのだから、その強引さには異様を漂わせている。この問題はかつての大日本帝国が朝鮮半島の人びとに行ったことの歴史認識と密接にからむだけに、行政の態度としてはなおさら冷静さを保つことが求められたはずだ。極端な対応は、過剰な社会反応を生むだけであり、最終的に“勝ち負け”というメンツレベルで判断を左右されるようになると目も当てられない。

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