公明党のジェンダー認識

政党機関紙に3年ほど勤務した後、独立して最初に仕事をした媒体は『別冊宝島』だった。当時、躍進していた日本共産党で1冊つくることになり、取材を始めたのが97年だった。その年の東京都議選を取材したが、公明党と比較して感じたことは、共産党は女性候補が多くいる反面、公明党は皆無に近かったことだ。その状況はいまも大して変わっていない。日本の国会議員に占める女性占有率が先進国の中で極端に低いことは有名だが、過去にこのコラムで指摘したこともある通り、ジェンダー政策の足を引っ張っているのは与党の自民党と公明党である。それぞれ国会議員の女性比率は12%、14%程度で、立憲の23%、共産の33%に比べ相当に低い。このジェンダー不平等の現状はこの国の少子化問題を抜本解決できない構造的要因とも指摘されている。考えてみれば当たり前の話だが、女性議員が少ないということは女性の代弁者が少ないことを意味する。その結果、女性が働きやすい社会構築の大きなブレーキとなっているというわけだ。仮に女性議員が半分いたと仮定すれば、女性の声は実現度を一層増す。考えてみれば、戦前はこの国の女性には参政権すら存在しなかった。そのなごりがいまも続いている状況にある。自民党はこうした危機感からか、女性局主導で女性国会議員を30%にする方針を発表。茂木幹事長も容認している。一方、公明党はどうか。そうした方針をいまのところ聞いていない。両党とも党内に「女性局」という部署があること自体、日本の現実の姿といえる。なぜなら多数派であるがゆえに「男性局」はもとより存在しない。両党から「女性局」というセクションが名実ともに無くなるときこそ、ジェンダー平等社会が大きく進展した姿であり、少子化対策の抜本的変革がなされる土壌ができるというものだろう。

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