少子化対策を失った日本的要因

本日付の朝日新聞に日本の人口減少化が早い段階から予見できかつ対策を講じるチャンスがあったにもかかわらず、それを実現できなかった理由を検証した企画記事が掲載されていた。それによると改革のチャンスを阻んだ最大の要因は「男性、年配、東京」の壁だったという。一つは男だけで物事を決定する悪しき慣習である。最近たまたまある人類学者のエッセイを読んだが、男だけで仕事をした場合と男女共働で仕事をした場合の結果は後者のほうが高いことが数値的に裏づけられているという。男性だけの意思決定で日本は過去にも大きな失敗を繰り返してきたが、その最たる事例は女性に選挙権すら付与されていなかった時代(=大日本帝国)の“敗北”と“崩壊”だろう。戦後もその慣習による影響は長らくつづき、いまもG7中最低のジェンダー不平等の国として日本は知られる。その延長としてG7の中でLGBTQに関する差別禁止法をもたない唯一の国としても有名になった(昨年やっと理解増進法を可決成立)。

ジェンダー不平等の最たる事例は、繰り返しになるが国会議員における女性比率の低さだ。冒頭記事がいわんとすることは、ジェンダー平等社会は当然にして性差を前提とした働き方改革を生み、女性が男性と同等に働ける社会を構成する。当然ながら、最大の少子化対策に結びつくだろう。さまざまな政策にも多方面に影響を生じさせる。現在問題となっている殺傷兵器の海外輸出問題でも、与党の密室協議でいつも映し出されるのは自民・公明の男性議員の姿だけだ。その意思決定に、女性議員は1人も入っていない。これでまともな決定に結びつくと考える発想が、そもそも大日本帝国時代の旧弊と変化していない証明であろう。日本は根本的なジェンダー平等社会の本格構築に着手する必要がある。公明党は国会議員比率を将来的に50%50%にすると、他党に先んじて真っ先に公約として打ち上げてもよいくらいだと思う。

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