圧倒的な不平等格差が生む現状

昨日、東大で開かれた勉強会をオンラインで視聴した。パレスチナ現地取材70回以上、20年以上この問題を取材するジャーナリストの小田切拓氏が話をした。おそらく現地の事情などに最も詳しい日本人の一人と思われるが、同氏が最初に聴衆に呼びかけたことは、なぜガザにはイスラエル経由でしか食料やエネルギーが入らない仕組みになっているのかという素朴な問いかけであった。実際、ガザに食料支援を行おうとするなら、隣のエジプトから海路で行うことも可能なはずで、結論は、イスラエル市民を守るためにイスラエルを通してしか食料もエネルギーも渡さない構造を国連も同意し、国際合意となっているからという指摘だった。要するに圧倒的な不平等な条件と経緯のもとで貧富の格差をはじめとする現在の状況が生まれており、その前提をなんら指摘しない日本のアカデミズムやマスコミに、そこから説き起こさないと問題の本質が見えないということを問いかけたように思えた。なるほど、そうした背景から両者の圧倒的な経済格差やさまざまな住民の不満のありようというのは派生してくるということだろう。今回はハマスからの攻撃が残虐で大規模だったことがイスラエルからの「反撃」の正当性を裏づけるものとして、日本の一部識者は「テロは許されない」との表層的な主張を繰り広げている。問題がそんな単純な背景でないことは明らかだ。歴史的経緯を無視して現状を見ることは偏頗にすぎず、問題解決への道筋に至らないことだけははっきりしている。

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