組織のメンツを守りたい人びと

袴田巌再審公判がスタートした。その関連で学習会が開かれたので参加して一番驚いたことは、この一連の裁判で行われてきた警察・検察の証拠の「ねつ造」と見られる行動の具体的な実態だった。袴田事件は袴田巖氏が勤務していた味噌製造会社で社長ら一家4人が惨殺放火された事件で容疑者に仕立て上げられ、捜査側が多くの証拠をねつ造して犯人に仕立て上げた内容とされている。犯人でない人間を犯人に仕立て上げるにはそれなりの技術を要することは普通に考えても明らかだろうが、当時の静岡県警察・地検が行った行動は杜撰極まりないものだった。60通を超える袴田氏が自白させられた供述調書では犯行着衣は当初はパジャマとなっていたが、その後味噌だるの中から発見された5点の着衣に変更されたこと。その5点の着衣を実際に袴田氏に着せてみる検証を行ったら小さすぎて本人が着ることができなかったこと。事件当初、味噌だるの中に味噌はなかったとされること、DNA鑑定技術が進化する中で鑑定したところ袴田氏の血液ではなかったこと、その鑑定を行った教授を鑑定後に検察側がボロクソに叩く嫌がらせを行ったこと、袴田氏による「金銭目当て」の犯行としながら現場には多くの金銭や預金通帳が残されたままであったことなど、あまりにも杜撰な内容が満載で、これらを国民が広く知る事態となれば、警察捜査および現在の検察の姿勢に対する評価は一変するだろうということだ。自らの職業的使命を忘却し、自分たちの組織(のメンツだけ)を守ろうとする姿勢は、他の多くの組織にも通じる。旧日本軍の暴力行為を矮小化したい大日本帝国主義者、かつての集団暴力行動を矮小化したい日本共産党の姿などもすべて「同根」に見える。

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