「靖国脳」に冒された人間の特徴

明治以降の日本が国策として神道を国教化し、靖国神社を創建、戦争で死亡した兵士やその家族を慰撫する装置として用いてきた歴史は多くの人が知っている。明治期以降の日本は、他国との優位性を強調するために天皇制を利用し、万世一系などのフィクションをあたかも事実であるかのように作出し、侵略的国家としての体制を整えた。その結末が1945年の日本の破滅であり、その根源にあった思想が、神道であり、日本民族の優越意識であった。戦後、そうした勢力および考え方は日本社会においては窓際扱いとなり、少数派にすぎなかったが、それがゾンビのように復活・拡張したのは、政治的に同じ思想をもつ安倍晋三氏の政権誕生による。この靖国史観に乗じる形で言論戦を手掛けてたのが月刊HanadaやWiLLと呼ばれる雑誌であり、多くのネット番組も派生して生まれた。彼らの思想の底流には、大日本帝国時代の思想性と同一のものがあり、日本は素晴らしい、他民族より優れているという「唯我独尊」「夜郎自大」的精神性に特徴がある。

現代の靖国史観の広告塔となっている櫻井よしこは、日本が中国よりも優れた民族であることを公言してはばからない。週刊新潮時代から多くのねつ造記事を作出し、3年前の米国大統領選においても事実的根拠もないままトランプ・デマに相乗りし、多くのデマをふりまいたことで知られる門田隆将こと門脇護も「靖国脳」の典型だ。

その証拠に、物事を白か黒かの2元論でしかとらえることができず、「親日VS反日」「親中VS反中」の2種類でしかとらえることができない思考方法が明らかだ。

靖国脳は「敵」と「味方」の2分類法しかもたない習性をもつため、恒久平和を作り出す能力に欠如している。かつて日本国を無謀な太平洋戦争に引きずり込んだように、相手を「敵」としか捉えられない心性は、結局は、関係性の破滅を導く。彼らが中国を「敵」としてのみ捉え、台湾有事を煽りながら自らの主張を拡大する姿は、かつての日本が間違った道をたどった道程とまったく同じに見える。

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