本日付東京・朝日に記事が掲載されているが、関東大震災後の朝鮮人虐殺について当時の神奈川県知事が内務省警保局長あてに報告した文書が公表された。昨日参議院議員会館で行われた記者会見ではこの文書は研究者の姜徳相さんが10年ほど前に馴染みの古本屋から購入したものといい、押されている印鑑、内容の具体性などからして「真正」のものであることはほぼ間違いない。本人はさらに裏づけ調査を重ねた上でいずれかの時期に発表しようとしていたというが、その研究を完成させる前に没したため、共同作業を行っていた支援団体グループがこのほど文書を含めた書籍を発刊したという経緯だ。
問題は当時の内務省は同様の報告を他府県にも一律に求めたとみられるが、その結果が残されていないことだ。また神奈川県からの報告は県内各方面から集めたものを取りまとめたと推察され、各地元の自治体でも関連する資料が残っている可能性はある。
これまでの公式資料(=隠蔽されていない史料)では横浜市における朝鮮人虐殺はなかったとされてきたが、そうではなかったというのが県側史料によっても裏づけられた形だ。
100年前の関東大震災の史料だけでなく、1945年の終戦時においても日本政府は「国策」として都合の悪い公文書を焼却させた歴史がある。その結果、慰安婦問題などにおいても日本政府に都合の悪い史料はほぼすべて焼却され、その焼却された結果をもとに、安倍政権が自らの歴史観に都合のいい発表を行ってきたことは記憶に新しい。またそうした体質による行動は、同政権の森友問題や加計学園問題などでも繰り返された。日本の国家としての「情報隠蔽体質」は歴史的に骨がらみだ。こんな国家は世界に信頼されない。
「朝鮮人145人虐殺」神奈川県知事が国に報告 関東大震災2カ月後の文書が裏付け 「不安と激昂のあまり…」詳細に:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)