政権交代の効用

日本が95年に人種差別撤廃条約に加入できた要因は政権交代にあった。より具体的には社民党の首相だったからできたことだった。私は当時、社会新報記者として機関紙記事の作成に当たり、部落解放同盟に取材に行くように指示された。人種差別は在日コリアンなどの民族差別とともに、門地に基づく差別である部落問題も含んでいたからだ。自民党単独政権であったら、日本政府がこの条約に加入することはなかったと思われる。このように異なる政党が政権に入ることでそれまで実現しなかった新たな政策が実現されるのは政権交代の効用だ。30年前の細川連立政権においても同じことが起きた。私の知りえる範囲では、国レベルの情報公開法の制定がこの政権で筋道がつけられ、その後、成立の運びとなった。これも自民党単独政権では実現に至ることはなかったと思われるものだ。2009年から12年までつづいた民主党連立政権でも、それまでの自民党主体の政権ではけっして実現しなかった永住外国人地方参政権が、実現の一歩手前まで行ったことは記憶に新しい。同じように、選択的夫婦別姓など当然実現しなければならない制度は、いまの自民党主体の政権では無理なままだろう。だからこそ政権交代は不可欠なのだが、この国の政権交代の足を引っ張っているのは現状では日本共産党である。この政党が長年のプライドに寄り添い、共産主義を捨てないために、野党は大同団結することができないでいる。その意味で日本の政治を悪くしているのは共産党といえる。

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